MENU

土間収納の選び方と失敗しないポイント

玄関周りの収納不足に悩み、土間収納(シューズインクローク)を検討する方が増えています。しかし、安易に設置すると「通路が狭くて使いにくい」「荷物が溢れて結局はただの物置になった」と後悔するケースは少なくありません。

当サイトが複数のハウスメーカーのモデルハウス取材と施主インタビューを重ねてきた経験から言えば、土間収納の成否は設置後の「使われ方」を設計段階で具体的に想像できるかどうかに尽きます。

この記事では、タイプ選択から寸法・内部仕様・失敗パターンまで、実例をもとに解説します。

目次

土間収納とは何か

土間収納とは何かの図解

土間収納とは、玄関土間と室内をつなぐ位置に配置され、靴を履いたまま出入りして屋外で使う道具をそのまま収納できる空間です。

当サイトが実際にハウスメーカーのモデルハウスを取材した際、土間収納の有無で玄関のすっきり感や生活動線のスムーズさが大きく変わることを実感しました。

扉一枚を閉めるだけで玄関全体の印象が整然とし、来客対応への心理的なハードルが下がる点は、写真や間取り図だけでは伝わりにくい感覚です。

玄関周りの利便性を高める土間収納には、主に以下のメリットがあります。

  • 生活感を隠して玄関を美しく保てる
  • 屋外で使う汚れやすい荷物を室内に持ち込まずに保管できる
  • ベビーカーや三輪車などを折りたたまずにそのまま置いておける

アキュラホーム住生活研究所の「2017年住宅傾向調査」によると、新築住宅における玄関収納(シューズクローク)の採用率は2009年の35%から2016年には74%へと、わずか8年間で2倍以上に急増しています(アキュラホーム 公式サイト)。この急増の背景には、共働き世帯の増加に伴い、コートや雨具を玄関で脱いでそのまま室内へアクセスしたいという「家事ラク志向」の普及があると分析されています。

ハウスメーカーごとの玄関収納プランや間取りの考え方については、間取りの基本|失敗しない設計のポイントと後悔しやすいパターンも参考にしてください。

家づくりの資金計画や間取りの疑問は、当サイトと提携する積水ハウスの担当者に無料で相談できます。

収納特化型とファミリー通路型の違いを比較

収納特化型とファミリー通路型の違いを比較の図解

土間収納の設計パターンは、出入り口が1つの「収納特化型」と、2つの出入り口で通り抜けができる「ファミリー通路型」の2つに大別されます。

比較項目収納特化型(クローゼット型)ファミリー通路型(ウォークスルー型)
主な目的収納量の最大化帰宅動線のスムーズさと玄関の美観維持
出入り口の数1箇所2箇所
必要な面積1畳〜1.5畳でも実用可能通路スペースが必要なため最低2畳以上
収納効率高い(壁面を広く使える)低い(通路部分には物を置けない)
コスト感小面積で済むため抑えやすい通路分の面積が建築コストに加算される
おすすめの家庭荷物が多い・敷地に余裕がない家族の人数が多い・帰宅動線をすっきりさせたい

収納特化型(クローゼット型)の特徴

出入り口を玄関側の1箇所のみに限定したタイプです。通路スペースを確保する必要がないため、限られた坪数の中でも壁面全体を収納棚として有効活用できます。

入り口にロールスクリーンや扉を設置するだけで、玄関側からの視線を遮れます。

ファミリー通路型(ウォークスルー型)の特徴

帰宅後にコートを脱ぎ、鞄を置いて、手を洗うという一連の動作をスムーズな一本の動線上に配置できる点が最大の魅力です。玄関から土間収納を通り抜け、そのまま室内のホールや洗面所にアクセスできる動線を確保したタイプです。

どちらを選ぶかの判断軸

POINT 敷地面積に制限がある中でファミリー通路型を強引に設置すると、通路幅が十分に取れず、収納力も中途半端な空間になりがちです。2畳以上のスペースを確保できない場合は、収納特化型を選ぶほうが後悔を防げます。

土間収納の広さと寸法の目安

土間収納の広さと寸法の目安の図解

土間収納の幅は使い勝手を左右する最も重要な要素であり、一般的な910mm幅では通路が極端に狭くなるため注意が必要です。

幅910mmでは通路が48cmしか取れない理由

日本の木造住宅では、柱の中心から中心までの距離を910mmとする「尺モジュール」が基本設計として広く使われています。このモジュールをベースに幅910mmで設計すると、壁の厚みにより実際に使える内寸は約78cmまで狭まります。

ここに奥行30cmの棚を設置すると、人が通れる通路幅は48cmしか残りません。

大人の肩幅の平均は約40〜45cmであるため、48cmでは体を斜めにしなければ通り抜けられず、荷物を持った状態での移動は極めて困難です。

使いやすさを確保するための推奨幅136cm

土間収納内での移動や物の出し入れをスムーズにするには、壁の内寸で約123cmを確保できる136cm(1.5モジュール相当)の幅が目安です。奥行30cmの可動棚を設置しても残りの通路幅を約93cm確保でき、大人が正面を向いたまま両手に荷物を持って歩ける広さになります。

1畳でも多用途に活用できる実例

スペースが1畳(約1.65㎡)しか取れない場合でも、通路を無理に作らず収納特化型として緻密に計画すれば、高い実用性を発揮します。

当サイトが1畳の土間収納を設計した4人家族の事例を調査したところ、以下の工夫で限られた空間を使いこなしていました。

  • ドア裏フックの活用:ドアの内側に穴あけ不要のフックを取り付け、キャップやヘルメット、縄跳びを吊り下げ収納
  • スチールラックの設置:奥の壁に幅90cm×奥行45cmの頑丈なスチールラックを配置
  • 用途別の配置:下段に重い防災グッズや工具、中段に資源ごみの分別ボックス、上段に普段使わないアウトドア用品を収納

「帰宅後に子供が自分でランドセルと泥だらけのスパイクを置いてそのまま手洗いに行けるようになった。玄関が散らかることがなくなって、正直これだけで建てて良かったと思いました」(神奈川県・30代・共働き夫婦、子ども2人)

家づくりの資金計画や間取りの疑問は、当サイトと提携する積水ハウスの担当者に無料で相談できます。

扉・棚・ハンガーパイプの選び方

扉・棚・ハンガーパイプの選び方の図解

土間収納の使いやすさは、扉の有無・可動棚・ハンガーパイプの組み合わせで大きく変わります。

仕様メリットデメリット向いているケース
扉あり(引き戸)来客時に生活感を隠せる開閉スペースが必要・出し入れに一手間来客が多い・見た目重視
扉あり(開き戸)気密性が高い開口部前にスペースが必要においや湿気を閉じ込めたい
扉なし(オープン)荷物を持ったままノーアクションで出入りできる中の乱れが玄関から見える整理整頓の習慣がある家庭
可動棚収納物の高さに合わせて数cm単位で調整できる造作コストがかかる収納内容が変わりやすい家庭
既製品ラック初期コストを抑えられる・買い替えが容易デザイン・サイズの自由度が低いライフステージの変化が大きい家庭
ハンガーパイプありコートやレインウェアをかけたまま乾燥できる棚スペースが一部減る花粉対策・上着の室内持ち込み回避

扉あり・なしのメリットとデメリット

扉を「あり」にすると、来客時に閉めるだけで生活感を完全に隠せます。一方で引き戸や開き戸の開閉スペースが必要になり、出し入れのたびに扉を開ける手間が発生します。

扉を「なし」にしたオープンタイプは、荷物を持ったままでも出入りできて快適ですが、中の整理整頓を常に意識する必要があります。

積水ハウスは、玄関奥に引き戸付きの土間収納を設け、扉を閉めるだけで玄関を美しく保ちつつ、土間内に濡れた雨具の乾燥スペースを確保できるプランを提案しています(積水ハウス 公式サイト)。

玄関まわりのデザインや収納と照明・インテリアを合わせて検討したい方は、玄関をおしゃれにする方法|インテリアのコツ15選もあわせてご覧ください。

ハンガーパイプを設置すべきケース

以下に該当する家庭では、ハンガーパイプの設置を検討してください。

  • 花粉やPM2.5を室内に持ち込みたくない
  • 冬場に厚手のコートやダウンジャケットを毎日着る
  • 濡れたレインコートやウインドブレーカーを乾かす場所が欲しい

コート類を玄関で脱いでハンガーに掛ける習慣ができると、リビングに上着が散らかるのを自然に防げます。ハンガーパイプ1本を施主支給の金物で追加するだけで大きく使い勝手が変わるため、設計段階で検討しておく価値があります。

土間収納で後悔しやすい失敗パターン

土間収納で後悔しやすい失敗パターンの図解

土間収納で最も多い失敗は、具体的な収納ルールを決めずに設置したことで整理整頓できなくなり、単なる物置になってしまうことです。

整理整頓が続かず物置き化するケース

「土間収納があれば家が片付くはず」という漠然とした期待だけで設置すると、物置化するリスクが高まります。

注意 あるご家庭では、土間収納の整理整頓が困難になり、中の荷物をすべて屋外の物置に移しました。その結果、屋外物置のほうが車への積み込みもしやすく、使い勝手が改善されたとのことです。室内に土間収納を作る前に、屋外物置で代用できる可能性も必ず検討してください。

ベビーカーを車に積んだままで結局使わないパターン

子育て中のベビーカー置き場として土間収納を計画する方は多いですが、車移動がメインの地域では車内に常備しておくほうが合理的なケースが多く見られます。

設計前に「1週間の生活動線」をシミュレーションし、ベビーカーを実際に玄関収納に戻す場面が週に何回あるかを家族で確認してみてください。利用頻度が想像より低い場合、その分の坪数を別の用途に振り向けた方が満足度は上がります。

生活動線が複雑になって逆効果になる例

ファミリー通路型を設置したものの、動線が複雑すぎて使われなくなるパターンも典型的な失敗例です。「玄関から土間収納に入り、靴を脱いで、扉を開けてホールに上がる」という動作は、疲れて帰宅した家族には面倒に感じられます。

結局、誰も土間収納側のルートを通らなくなり、ファミリー玄関が機能停止してしまうケースは珍しくありません。

間取り全体の動線設計については、間取りの基本|失敗しない設計のポイントと後悔しやすいパターンで詳しく解説しています。

家づくりの資金計画や間取りの疑問は、当サイトと提携する積水ハウスの担当者に無料で相談できます。

土間収納が向いている家庭・向いていない家庭

土間収納が向いている家庭・向いていない家庭の図解
項目土間収納が向いている家庭屋外物置で代替できる家庭
趣味・ライフスタイルキャンプ・ゴルフ・釣り・スキーなどアウトドアギアが多い自転車・タイヤなど屋外専用品のみ
子育て状況部活道具・泥汚れの多いスポーツ用品を置く場所が必要ベビーカーは車に常備している
家族の習慣帰宅後に玄関で荷物を片付けるルールが全員に定着している片付けのルールを家族全員で守るのが難しい
敷地・予算2畳以上確保できる・坪単価分のコストが許容できる庭や駐車スペースに物置を設置できる
住宅の立地公共交通機関を使う都市部(車へのアクセス頻度が低い)車移動が主で玄関動線より車のトランクが実用的

屋外物置で代替できるケース

収納したい物が「キャンプ道具」「スタッドレスタイヤ」「洗車用品」といった屋外専用アイテムであれば、坪単価分のコストをかけて室内に土間収納を作る必然性は低くなります。

市販の屋外物置は数万円台から設置でき、庭や駐車スペースの横に配置することで、建物の床面積を圧迫せずに収納を確保できます。

土間収納を計画する際の注意点

土間収納を計画する際の注意点の図解

土間収納は計画段階での仕様決定が仕上がりの使い勝手とコストを大きく左右します。コンセントや換気といった設備面から予算・税負担まで、間取りを決める前に以下の注意点を把握しておくと、後悔のない土間収納を実現できます。

間取り計画の段階で確認すべき項目

  • コンセントの有無:電動アシスト自転車のバッテリー充電やロボット掃除機のベース、除湿機の設置を想定して、コンセントを設置してください。
  • 換気・湿気対策:濡れた傘や靴が持ち込まれる土間収納は湿気が溜まりやすい場所です。小さな換気扇を設置するか、調湿効果のある壁材を採用するなどの対策を設計段階で組み込んでください。
  • 床の仕上げ材:大和ハウス工業の「アクティブ土間のある家」のようにスロップシンク(大型流し)を設けて泥汚れを水洗いできる仕様にするか、コンクリート仕上げや高耐久タイルなど頑丈な素材を選んでおくと、後のメンテナンスが楽になります(大和ハウス工業 公式サイト)。

予算・坪数との兼ね合いを検討する視点

新築時において、土間収納は建築基準法上の延床面積に算入されます。土間収納を1坪(2畳)増やすということは、そのハウスメーカーの坪単価がそのまま建築コストに加算されることを意味します。

坪単価の水準はハウスメーカーごとに大きく異なります。

詳しくは【2026年最新】ハウスメーカー坪単価ランキング|総額・年収別の選び方を参照し、検討中のハウスメーカーの単価水準を事前に把握した上で坪数計画を立ててください。

また、土間収納は家屋の一部として評価されるため、固定資産税の課税対象となります。

注意 固定資産税評価額は3年に1度見直されます。2024年度に評価替えが行われたため、次回の実施は2027年度の見込みです(固定資産税の評価替えサイクルは総務省の地方税制度ページで確認できます)。床の仕上げ材や造作棚のグレードが高いほど評価額が上昇して税額に反映されるため、初期コストだけでなくランニングコストとしての固定資産税の影響も試算しておきましょう。

省エネ補助金との関係(2026年7月時点)

2026年7月現在、住宅省エネに関する主な補助金制度は「みらいエコ住宅2026事業」(2026年3月末より交付申請開始)です。なお、「子育てグリーン住宅支援事業」の新築注文住宅・分譲住宅への交付申請受付は2026年2月16日をもって終了しています。

土間収納自体への直接補助はありませんが、家全体の断熱・省エネ性能を高めてZEH基準等をクリアすることで補助金を活用でき、間取りにこだわった際のコスト負担を軽減する一助となります。

ZEH等の性能要件や住宅ローン控除との連動については、断熱等級とは?等級別の性能・費用・選び方を解説および住宅ローン控除とは?仕組み・計算・申請方法を完全解説【2026年最新】で詳しく解説しています。

最新の補助金制度の詳細は国土交通省の公式サイト(https://www.mlit.go.jp/)で随時ご確認ください。

家づくりの資金計画や間取りの疑問は、当サイトと提携する積水ハウスの担当者に無料で相談できます。

土間収納に関するよくある質問

土間収納は最低何畳から実用的に使えますか?

人が通り抜けない「収納特化型(クローゼット型)」であれば、1畳(約1.65㎡)からでも十分に実用的な収納スペースを作れます。ただし、通路スペースを確保できないため、奥行30cm程度の薄型可動棚を片側の壁一面に設置し、奥にはベビーカーや重い荷物を置くといった効率的な配置計画が前提となります。

新築で土間収納を作る場合、費用はどのくらいかかりますか?

新築時の土間収納は延床面積に含まれるため、基本的にはハウスメーカーの坪単価に比例して建築コストが決まります。そこに扉の追加や可動棚の造作オプション費用が加算されるのが一般的です。坪単価の目安については【2026年最新】ハウスメーカー坪単価ランキング|総額・年収別の選び方を参考にしつつ、具体的な費用はハウスメーカーへの個別見積もりで必ず確認してください。

土間収納に換気扇や窓は必要ですか?

換気扇または通風のある窓のいずれかを設置することをお勧めします。土間収納には濡れた雨具や傘、湿気を含んだ靴が持ち込まれるため、カビが発生しやすい環境になります。特に扉を閉め切るタイプにする場合は、24時間換気システムに連動した小型のパイプファン(換気扇)を設置しておくことで、カビや嫌なにおいのトラブルを事前に防げます。

土間収納を設置すると固定資産税は高くなりますか?

土間収納は屋根と壁で囲まれた家屋の一部であるため、固定資産税の課税対象となります。床の仕上げ材の仕様によって評価点が変わり、高価な天然石やタイル貼り、職人による造作棚を設えた場合は家屋評価額が上がり、固定資産税がわずかに加算されます。コンクリート金ゴテ仕上げのシンプルな仕様にとどめることで、評価額を抑えられます。

まとめ

土間収納は、アウトドア道具や子供の遊具、日用品のストックなどを靴を履いたまま出し入れできる利便性の高い空間です。

アキュラホーム住生活研究所の「2017年住宅傾向調査」では採用率が74%に達するなど(アキュラホーム 公式サイト)、現代の家づくりにおいて定番の間取りとなっています。

一方で、幅910mmのモジュール設計による「通路幅が48cmしか取れない問題」や、収納ルールを決めないままウォークスルー型を設置したことによる動線の形骸化など、設計ミスによる後悔も多く見られます。

これから計画を立てる方には、設計士との打ち合わせ前に以下の3点を確認してみてください。

  1. 屋外物置で代替できないかを冷静に比較する:収納したい物が屋外専用品であれば、数万円台の物置で十分な場合があります。
  2. 推奨幅136cm以上を確保できるかを間取り図で確認する:通路幅48cmでは日常使いに支障をきたします。
  3. 家族で片付けのルール(誰が何をどこに置くか)を書面で決める:運用ルールのない土間収納は物置に変わります。

具体的な設計プランは、複数のハウスメーカーに間取り提案を依頼し、実際の動線を比較したうえで判断すると、後悔のない選択に近づきます。

ハウスメーカー選びの全体像についてはハウスメーカーと工務店の違いを比較|後悔しない選び方、費用シミュレーションには【2026年最新】注文住宅の相場はいくら?全国平均と年収別シミュレーションもあわせて活用してください。

参考資料

家づくりの資金計画や間取りの疑問は、当サイトと提携する積水ハウスの担当者に無料で相談できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

マイホーム学校編集部は、注文住宅やハウスメーカー選び、住宅ローン・税制優遇まで、家づくりの意思決定に必要な情報を発信する住宅専門メディアです。国や公的機関の一次情報、各社の公表データ、実際の相談事例をもとに、中立的で実践的な比較・解説を心がけています。「借りられる額」ではなく「後悔しない選択」を軸に、資金計画から会社選びまで、これから家を建てる方をわかりやすくサポート。制度改正など最新情報の反映にも努めています。

目次